なぜUXリサーチが必要なのか?
ユーザーの実態を理解し、企画・設計・開発の間違いを早い段階で見つけるUXリサーチの役割を解説します。
UXリサーチとは
UXリサーチとは、ユーザーへのインタビューや行動観察、ユーザビリティテスト、データ分析などを通じて、ユーザーのニーズや行動、その背景にある理由を理解する取り組みです。
アクセス解析から「どこで離脱したか」は分かっても、「なぜ離脱したか」までは分からないことがあります。UXリサーチでは、数値だけでは見えないユーザーの状況や心理を明らかにし、プロダクトの企画や改善に活用します。
作り手の想像だけでは、ユーザーを理解できない
プロダクトについて詳しくなるほど、作り手はサービスを提供する側の視点で考えやすくなります。
「この機能は便利なはず」「この説明なら伝わるはず」と考えていても、実際のユーザーは違う目的や状況でサービスを利用しているかもしれません。
UXリサーチを行うことで、次のようなことを把握できます。
どのような人が利用するのか
ユーザーは何を達成したいのか
現在はどのような方法で行動しているのか
どこに不満や障壁があるのか
プロダクトに本当に必要なものは何か
こうした情報を開発前に整理することで、作り手の想像ではなく、ユーザーの実態をもとに企画を考えられるようになります。
後工程での大きな手戻りを減らせる
企画や設計の段階であれば、アイデアや画面構成の変更は比較的簡単です。
しかし、実装が進んでから根本的な問題が見つかると、仕様書、デザイン、プログラム、テスト、マニュアルなど、さまざまな部分を修正しなければなりません。関係者との再調整も必要になり、リリーススケジュールに影響する可能性もあります。
問題は、修正にかかる費用だけではありません。それまで企画や開発に使ってきた時間も、無駄になってしまいます。
後工程で大きく作り直すよりも、企画や設計の段階でユーザーに確認し、小さな間違いとして発見したほうが、開発全体の負担を抑えられます。
意思決定の精度を高められる
UXリサーチを実施したからといって、最初から完璧な計画を立てられるわけではありません。
それでも、ユーザーの目的や課題が見えていれば、何を優先して開発すべきかを判断しやすくなります。
例えば、次のような意思決定の精度を高められます。
どのユーザーを対象にするか
どの課題を優先して解決するか
本当に必要な機能は何か
開発範囲をどこまでにするか
どのような体験を提供するか
UXリサーチは「正解を一度で当てるための調査」ではありません。
間違った仮説を早い段階で見つけ、計画を修正するための取り組みです。
チーム内の認識をそろえられる
UXリサーチは、チームの共通認識をつくるうえでも役立ちます。
ユーザー像や課題が曖昧なままだと、企画、デザイン、開発、営業など、それぞれが異なるユーザーを想定してしまいます。その結果、議論が個人の経験や好みに左右されやすくなります。
ユーザーの発言や行動など、共通の事実をチームで共有することで、「誰の、どの課題を解決するのか」という判断軸が明確になります。
大規模な調査から始める必要はない
UXリサーチというと、大人数へのアンケートや専門会社への依頼を想像するかもしれません。
しかし、すべてのプロジェクトで大規模な調査が必要なわけではありません。まずは一人のユーザーに話を聞いたり、簡単なプロトタイプを触ってもらったりすることから始められます。
重要なのは、調査そのものを目的にしないことです。
「ユーザーはどこで迷っているのか」「この機能は本当に必要か」「この画面で内容を理解できるか」など、確認したい仮説を明確にしたうえで、必要な範囲でリサーチを行います。
UXリサーチは、開発を遅らせるものではない
UXリサーチには時間がかかります。しかし、リサーチを省略して間違ったものを作れば、より多くの時間と開発コストを失う可能性があります。
UXリサーチは、開発を慎重に進めるためだけの工程ではありません。
間違った方向へ速く進むことを防ぎ、限られた時間と予算を、本当に必要な開発に使うための取り組みです。
早い段階でユーザーを理解し、仮説を検証する。それによって、開発後の大きな手戻りを減らし、より精度の高いプランニングにつなげられます。